保育園で「父母の会」活動を楽しむために
保育園で保護者同士の交流を深める「父母の会」活動。初めて参加される方は、役員が誰なのか、役割は何なのか、戸惑われるかもしれません。地域のネットワークづくりにもなる「父母の会」活動に、保護者が楽しく参加できる方法を考えていきます。
目次
保育園の父母会ってどんな活動をしているの?
保育園は、子どもが家族以外の人と集団生活をする最初の場所のひとつです。多くの保育園には「父母の会」(「保護者会」「父母会」ともいう)があります。初めて保育園に子どもを預ける保護者の中には、「仕事などの事情で保育園に預けることになったが、本当に自分に役割が担えるのだろうか」と、少し不安に思う人もいるかもしれない。
保育園における「父母の会」の責任と意義とは?
まず、入会自体は必ずしも強制ではありません。しかし、ほとんどの家庭が会に入会し、月会費や年会費を支払い、委員やスタッフでなくても会の企画する行事に参加している。会費は月額500円や年額2,000円までさまざま。会費徴収の負担を軽減するため、月単位ではなく、年単位や前年度下半期に会費を徴収する団体もあります。
どのような活動をしているのですか?
親子が交流できるイベントの企画・運営。
保護者が子育てや生活について学べる講演会や研修会の企画・運営。
園生活で困ったことが起きたとき、父母の会が取りまとめて園に報告することもあります。
保護者会の主な役割は、保護者同士のコミュニケーションを図り、園と協力して園児を見守ることです。
園生活では、送り迎えの時間がまちまちで、保護者同士のコミュニケーションがとりにくいことも多い。保護者同士の横のつながりができれば、園生活をより快適なものにすることができる。また、保護者同士のつながりができれば、園とのコミュニケーショ ンもスムーズになる。共働きなど保育園に預けなければならない事情があっても、困ったときに助け合える関係があると心強い。
自治体の保育所父母会では、父母会連絡会を結成して父母会同士の横のつながりを作っているところもある。保育環境について視野を広げるいい機会である。
これを避けたい保護者も多い!父母会の役員や委員会の決め方の一例
園と保護者会の関係は様々です。保護者会が園から独立している場合もあれば(必要であれば園がサポート)、園が主体となって保護者会をサポートしている場合もあります。
以下は、父母会が園から独立している場合の役員や委員会の決め方の一例である。
はじめに
入園2年目以降のクラス→前年度の保育参観や保護者会などが終了した後。
年少クラス→新年度の最初の園参観や担任による保護者会等の後。
その際、各クラスから数名の役員を選出します。その後、日を改めて各クラスの役員が集まり、会長、副会長などの父母会役員を選出します。
父母会全体の会長、副会長という負担の大きい役職を引き受ける必要のない低学年のクラスでは、クラス役員を引き受けることにしているところもあります。仲の良い者同士が手を挙げて協力し合い、早い段階でクラス役員が決まるケースもある。一方、なかなか決まらないケースもある。最終的に決まったクラス役員から会長、副会長などを選出する集まりは、必ずしも和気あいあいとはいかない。
やることも多いし、活動の時間配分もある…。様々な仕事や家庭の事情を抱えた子どもたちを預かる人たちの背景は様々で、初参加の際は最も気になるところだ。仕事や日々の “忙しさ “は、働き方だけで測れるものではない。「フルタイムで余裕がない」人もいれば、自営業やフリーランスで「実質的な完全休日がない」「仕事を引き継ぐ人がいない」人もいる。また、仕事だけでなく、介護が必要な家族がいるために子どもを保育園に預けている人もいる。保育園のケースではないが、小学校のPTA役員を決める際、「できない理由」を次から次へと聞かれるケースを耳にし、経験したことがある。生活の負担は他人との比較で測れるものではないので、そのような説明は険悪なムードを醸し出しかねない。
運営上の不安の整理と、その対応
役員決めなど年度当初は重苦しい雰囲気もあったが、徐々に保護者同士の距離も縮まり、活動の達成感を得るケースも多い。運営にも工夫があるようだ。
活動の基本は「園児の園生活の向上」だが、「園児のため」だけを考えるのは負担になりかねない。年度ごとの活動状況や全体のバランスを見ながら、慣例として行ってきた活動を無理なく行えるように見直し、「それぞれの環境に照らして、みんなができること」をつなげていくことで、役員だけに負担が集中したり、分担したりすることがないようにする必要がある。
具体的には
・年間スケジュールの見える化
年間スケジュールを見える化し、事前に役員に配布することで、やるべきことを可視化する。
・省略できるものは省略する
新体制発足後の最初の集まりは、できるだけ全員で集まりたい。この時に、年間のルーティンから簡略化できるもの、省略できるものを話し合う。
・集まりの回数を最小限にする
年に数回、活動の節目などに集まり、メーリングリストなどを主な連絡手段とする。ただし、電子メールだけではコミュニケーションがうまくいかないこともある。そのような場合は、送迎の時間帯にコアメンバーが会う時間を調整したり、電話で話すだけでも、メールだけのコミュニケーションよりスムーズにいく場合がある。
・また、保護者のメリットも大切に
プログラムを企画・運営する立場にあるのなら、その立場を利用して、自分の関心のある分野の親子イベントや講演会を提案することもできる。
・自分の専門分野を持ち込む
企画・運営が得意な人、地元の人たちとのネットワークがある人、持ち帰り仕事(文書作成、ものづくり)が得意な人…。自分の得意分野を持ちよる。
特に年長組では、卒業までの数ヶ月間、卒業記念行事の企画や記念品の決定・作成・手配などを通して、保護者同士の距離がぐっと縮まります。「もっと早く知り合いたかった」「せっかく仲良くなったのに、卒園してしまうのは寂しい」といった声が聞かれます。
園と園のつながりは、地域と地域のつながり。こうした活動を通して、母親同士だけでなく、父親同士の連帯感も芽生えていることは、とても頼もしい。また、主目的ではないが、災害時の安心感にもつながるし、園生活に関するトラブルが発生した際にも、園児が孤立感を抱くことなく、より良い解決策を見出すことができる。
そして最後に、完璧を求めないこと。
連帯感が生まれ、お互いの距離が縮まれば縮まるほど、良い活動を作りたくなる。しかし、「立場も考えも違う」という原点にも立ち返れば、無理なく気持ちよく活動ができる。