転園する子どものストレスへのケア
さまざまな理由で、子どもを新しい幼稚園に転園させる必要が生じることがある。子どもの環境が変わることは、親にとって大きな不安の種である。もちろん、子ども自身も多かれ少なかれ緊張している。ここでは、転園に不安を感じている子どもの心理状態をどのようにフォローしたらよいかを考えてみましょう。
転園の不安…転園の理由によって、環境の変化という側面は異なる
様々な理由で、お子さんの預け先を変える必要に迫られることがあります。例えば、無認可園に入園していたお子さんが認可園に入園することになった、引っ越しをしたので新しい預け先を探す必要がある、働き方が変わったので新しいライフスタイルに対応できる預け先を確保する必要がある、などです。
大人でも新しい環境に身を置くと不安やストレスを感じるものです。子どもは順応性がある」とよく言われますが、もちろん子どもの性格は一人ひとり違いますし、新しい環境に慣れるまでの時間や過程もさまざまです。子どもが園を変わるケースは多い。
例えば、次のようなケースは、家庭や子どもを取り巻く環境が様々に変化した例である。
・無認可園から認可園への転園。園の規模が変わった、少人数クラスから大人数クラスに変わった、異年齢から同年齢に変わった等。
保護者も新しい生活環境に慣れるのに必死で、保育者が変わることに大きな不安を感じている。また、地域による子育て環境の違いにも戸惑っている。
・幼稚園から保育園への転園。生活プログラムの変更、昼寝の有無、給食かお弁当か、お迎えのスタイルの違いなど。
転園後の子どもの不安は?子どもは順応性があるが…
子どもは順応性があり、一般的に年齢が低いほど環境の変化を受け入れやすい。
自我が発達し、自分と他人との違いや環境の変化を理解できるようになる年長児になればなるほど、適応のプロセスはより個別化される。
新しい環境に入ることに不安を感じる子もいれば、幼稚園に行くのを嫌がったり、別れ際に泣いたりという形で不安を表現する子もいる。すぐに友達ができる子もいれば、周囲を注意深く観察している状態のままの子もいる。
我が子を「内気」「用心深い」「環境の変化に敏感」と思っている親は特に不安を感じるかもしれない。しかし、保育園に行きたがらない子や、帰るときに大泣きする子でも、保育時間中ずっと泣いているわけではありません。赤ちゃんだって無意識のうちにオンとオフを理解しているし、登園時やお迎えの時間にお母さんやお父さんの姿を見て、気持ちがずれて泣いたりぐずったりしていても、先生や仲間に囲まれた保育の中で、不安と同時に喜びを感じている部分もあるはずだ。それは「圧倒されている」ということではなく、新しい環境で様々なプラス・マイナスの感情や経験をする中で、自分自身を理解し、自分で問題を解決していくたくましさが育っているということである。
転校に対する親の不安は、子どもの不安にもつながっている。
むしろ親の不安の方が大きく、それが子どもの気持ちに伝わることもある。
親の事情や方針で、幼い頃から園に通わせたり、転園させたりする子どもは少なくない。やむを得ない事情や熟慮の末の選択であっても、子どもの生活環境が一変することに後悔する親は少なくない。
しかし、たとえば幼少期から成人期までの20年間、すべての親子が住み慣れた土地でずっと暮らせるわけではない。家族であっても、夫婦、親子という異なる人間が一緒に暮らすのだから、その負担は常に一人に重くのしかかるかもしれない。しかし、長いスパンで家族を考えたとき、親は自分の選択に自信を持ち、その家族の中でより良い形を目指すべきだ。短くない子育て期間を、親や家族だけで育てることはできない。
転園の不安への対処法。親と子、園と家庭の信頼関係を着実に築く
日々、子育てをしながら働く親にとって、限られた時間の中でできることは、親子や園とのコミュニケーションをとること。
まだしっかりした会話ができない小さな子どもでも、「お父さんとお母さんはお仕事だよ」「保育園では先生やお友達といっぱい遊べるよ」と声をかけ、まだ十分な答えが返ってこなくても、「今日は何をして遊んだの?楽しかった?それでも答えてくれなくても、「今日は何をしたの?もちろん、コミュニケーションは言葉のやりとりだけでなく、表情や食べ方にも気を配る必要がある。
転校してきた子どもと一対一で接する時間は限られていても、保育者は子どもの様子に気を配り、積極的に声をかけてあげたい。歳児クラスに連絡帳がある場合は連絡帳を、3歳児クラス以降に連絡帳がなくなり、園での落ち着かない時間に家庭での様子を伝えることが難しい場合は、メモを取るなど、家庭での様子を伝える方法もあります。
また、園の対応に疑問があり、解決できない場合は、園に要望を出すことも必要でしょう。そんなときは、以前からその園に通っている保護者同士で話をすると、対応のヒントが見つかるかもしれません。保育園のお迎え時間はまちまちなので、保護者同士の関係を築くのは難しいかもしれませんが、保育参観や保護者会など、保護者同士の交流の場があると心強いですね。