幼稚園・保育園のマネープラン
家計相談でよく取り上げられる教育費は、もっぱら大学進学資金や中学・高校の私立校への通学費が中心だ。しかし、家計に与える影響という点では、目の前の幼稚園・保育園は決して小さな問題ではない。うっかりするとプチ貧乏状態に陥るこの時期。この状況への対処法を考えてみよう。
私立幼稚園は年間50万円以上、認可外保育園は月7万円もかかる!
教育費として忘れられがちな幼稚園・保育園。実は、見過ごすと赤字家計になりかねないマネープランの最初の関門なのだ。まず、いくらかかるのかを見てみよう。
幼稚園の場合、私立と公立では費用に明確な差がある。文部科学省の「平成26年度子供の学習費調査」によると、私立に通う場合の平均年間費用(習い事などの学校外費用を含む)は49万800円。一方、公立は22万2264円で、私立の半分以下だ。標準保育時間は4時間だが、最近は公立の約半数、私立の9割近くが延長保育を実施しており、妻が働きやすい環境が整っている。その場合、別途保育料(1日800円程度)も考慮しなければならない。
一方、保育料は認可保育園と認可外保育園で異なる。認可保育園の場合、自治体や子どもの年齢、世帯収入によって金額が異なる。多くの自治体では、第2子は半額、第3子は無料となっている。
一方、認可外保育園の保育料は、運営者によって大きく異なる。厚生労働省の「平成24年度地域児童福祉事業実態調査結果」によると、全国平均の保育料は0歳児が月額30,550円、2歳児が27,827円、4歳児が24,298円で、1万円以下の施設もあれば7万円を超える施設もある。保育料のほか、制服代、教材費、雑費などを別途徴収する施設もある。
しかし、この時期の家計の負担は、幼稚園や保育園の追加費用だけではない。子どもが生まれると、当然その日から新たな出費が発生する。内閣府の「平成22年度インターネットによる子育て費用実態調査」によると、未就学児(第1子)の年間子育て費用のうち、食費は16万6,387円、衣類・服飾品は6万8,754円、日用品は14万9,425円。これだけで合計384,566円。幼稚園・保育園児もほぼ同額で38万3611円。つまり、特別なことをしない「普通の生活」を送るには、これだけの費用がかかるのだ。
事前の情報収集と負担増を考慮した家計管理
では、このように家計の負担が増えた場合、どのように対処すればいいのだろうか。まず、妻の収入がポイントになる。妻が出産で一時的に働けなくなることは、この時期の家計リスクを生む大きな要因だ。
しかし、妻の勤務先に出産前から育児休業制度があり、出産後に復職すれば、さほど問題にはならない。制度がなくても、職場復帰など一定の条件を満たせば、国から「育児休業給付金」が支給される。支給額は休業前の賃金月額(※1)の67%相当額(育児休業開始後6カ月経過後は50%相当額)で、通常、子が1歳に達する日の前日まで支給される(※2)。
出産前に働いていなかったり、出産後に退職した場合は?考えなければならないのは、働く時期と収入だ。一刻も早く働きたい場合、子どもは0歳から預けられる保育園に入れることになるが、保育料によっては妻の収入の大半が消えてしまう可能性もある。そのため、働くべきかどうか悩む人も多い。
そのため、まずは子どもを預けられる保育園の保育料を確認し、想定される収入と比較することが大切だ。進路を幼稚園に決め、3、4歳までは子育てに専念したいという人は、費用についても調べる必要がある。幼稚園を選んだ場合、夏休みなどの長期休暇中の預け先も検討する必要がある。
収入増とともに、家計の見直しも十分に検討に値する。赤ちゃんがまだ生まれていなければ、さらに大きな改善が期待できる。夫婦だけの家計はゆとりがあり、ついつい使いすぎてしまうことも多い。そんな時期から、出産後に妻に収入がないケースを想定し、スリムな家計管理と高い貯蓄ペースを実践していれば、出産後に慌てることはないはずだ。
また、妻が働きながら貯蓄中心の家計管理をしていても、幼稚園の費用などが足りなくなる可能性もある。そのような場合は、当面は赤字にならない範囲で、収支がイーブンでも許容できる範囲を考えることが大切です。収入を増やす」「家計をやりくりする」という2つの目標を常に意識していれば、今は結果が出なくても、将来のマネープランには必ずプラスになるはずだ。
(※1)月給の上限は455,700円で、それ以上は一律で計算。(2022年8月1日現在)
(2)「パパ・ママ育休プラス制度」を利用した場合は1年2カ月。