愛着形成とは?赤ちゃんを保育園に預ける親が知っておくべきこと


3歳児神話の影響もあり、0歳から保育園に預けることにためらいや抵抗を感じる人も多いかもしれない。しかし、できるだけ早く保育園に通わせることで、心身ともに健康で自立した子どもに育っている例も少なくない。赤ちゃんを保育園に預ける親が知っておきたい、愛着形成とは?
近年、女性の社会進出は目覚ましく、子どもを保育園に預けて働く母親も増えている。しかし、”3歳児神話 “を耳にしたり、保育園に預ける際に子どもが大泣きしたり、後追いしたりすると、早い時期から保育園に預けることにためらいや抵抗を感じるお母さんも多いのではないでしょうか。
幼い頃から保育園に預けることで、心身ともに健康で自立した子に育つ子も少なくない。しかし、「3歳までは母親が育児に専念すべき」という3歳児神話が根強いのはなぜだろうか。
その鍵のひとつである「愛着形成」について解説し、0歳から保育園に預ける母親へのヒントを提供する。
目次
愛着形成は人生の基盤
愛着とは、身近なものに対する特別な感情のことで、発達心理学では、赤ちゃんと特定の養育者との間の精神的・感情的な結びつきのことを指す。
愛着形成は子どもの発達において非常に重要であり、協調性や社会性、勉強や運動能力、友達と上手に遊ぶこと、ルールを守ること、優しい心を持つこと、強くなること、意欲的になることなど、人生で大切なことの基礎となる。
愛着形成は社会的相互作用によって生まれる
イギリスの精神科医ジョン・ボウルビーが提唱した「愛着理論」によると、愛着形成は社会的に交流のある人との間に形成されると言われています。
つまり、赤ちゃんに話しかけたり、スキンシップをとったり、何らかのサインに反応したりする人との間で形成されるのです。
まだ言葉を話せない赤ちゃんは、非言語でコミュニケーションをとる。表情や声のトーン、ジェスチャーなどを通して、親しい人との社会的な交流が心理的な絆を深めていくと言える。
やがて、そのような交流が頻繁な主たる養育者との間に、一定のコミュニケーション形態が確立される。
その親しい人から期待通りの反応が返ってくると、赤ちゃんは安心し、精神的に落ち着き、愛着が形成される。
コミュニケーションが形式化されていないと不安になる
自分の非言語的な言葉に対する反応が返ってこなかったり、いつもと違う反応や予想外の反応が返ってきたりすると、赤ちゃんは不安や恐怖を感じると言われています。
家庭での社会的やり取りのパートナーは母親だが、保育園では保育士が仕事を分担したり交代で働いたりするため、そのパートナーは変わる。そのため、慣れ親しんだ相手やコミュニケーションの形が変わり、赤ちゃんが不安を感じることがあるのです。
だからといって、保育園に子どもを預けたすべての人が不安を感じながら育つわけではない。母親との愛着がしっかり築けていれば、赤ちゃんは集団生活の中でたくましく育つ。
時間よりも質が重要である。短時間でも充実した接触があれば、母子の愛着は形成される。
どんなに忙しくても、赤ちゃんと向き合って話しかけましょう。
スキンシップや交流の時間を可視化し、設定する
赤ちゃんに話しかけ、赤ちゃんに本を読み聞かせ、赤ちゃんを抱っこし、赤ちゃんの表情やしぐさに反応するなど、愛着を形成する社会的やり取りをしましょう。
簡単なことのように聞こえるかもしれないが、子育てをしながら働いている母親は、帰宅後もさまざまな家事をこなさなければならない。また、赤ちゃんが夜泣きを始めると、ぐっすり眠ることができず、心身ともに疲れ果ててしまうかもしれない。その結果、赤ちゃんの小さなサインを見落としがちになり、赤ちゃんとの関わりが希薄になることもある。
このような場合、
・赤ちゃんと向き合う時間を決める
・赤ちゃんを抱っこする、絵本読みのカードを作り、そのやり取りをしたらカードをめくるようにする
働きながらの愛着形成は母親の意志次第
最新の家電製品や家事を手伝ってくれる家事代行サービスなどを利用すれば、赤ちゃんと向き合う時間を確保することは可能だが、共働き家庭では経済的な理由で利用が難しい場合もある。
その点、働きながらの愛着形成は、母親にとってかなりの負担と労力を必要とする。また、愛着形成は目に見えず、すぐに結果が出るものではないため、どの程度愛着が形成されたかを判断するのは難しい。これも3歳児神話が根強い理由かもしれない。
しかし、せっかくこの道を選んだのであれば、保育園に預けることにためらいを見せず、強い意志を持って子育てに向き合ってほしい。
育児に専念するか、子育てに専念するか、総合的に判断する
ワーキングマザーか、専業主婦か。
さまざまな事情で働かざるを得ないお母さんにとって、保育園は大きな助けになります。
また、昨今の「女性が輝く社会」「女性活躍推進」といった社会の流れもあり、働く意欲のある女性が増えています。家庭で育児に専念していると不安やモヤモヤ、イライラが募り、ネガティブな気持ちが大きくなってしまうという人は、託児所を利用して社会で働くという選択肢もあります。
早くから働くのか、育児に専念するのか、どちらにメリットがあるかは家庭の事情や母親自身の生き方による。
子育ては、未来を担う子どもをつくる大切な仕事
社会で働きたいという母親がいる一方で、育児に専念したくても働かざるを得ない母親が多いのも事実だ。保育園の待機児童は2万人ともそれ以上とも言われている。保育園の増設を検討すると同時に、働くことを望まない母親が、安心して子育てに専念できる社会を考える必要がある。
子どもたちが将来、そのような社会を実現できる大人になるよう、責任を持って健やかに育てていきたい。