自己肯定感が低い人の特徴とは?子どもへのNG行動&高める育て方



自己肯定感とは、自分の存在が評価されていると感じることです。自分を尊重し、「生きていていいんだ」「自分は大切な存在なんだ」と思えることです。
近年、「自己肯定感」という言葉をよく耳にするようになった。自分自身を振り返ってみても、”自己肯定感の欠如が人間関係やメンタルヘルスの不調の原因ではないか?”と思う。人間関係やメンタルヘルスの問題の原因ではないか」と考える人が増えているようだ。
ここでは、そもそも自己肯定感とは何か、自己肯定感が低い人が改善するためにできること、子どもの頃の自己肯定感を下げるNG言動などをまとめています。自己肯定感の低さに悩む人はもちろん、自己肯定感の高い子どもに育てたい人も必読です。
目次
自己肯定感の意味とは?自己肯定感が低い人の特徴
自己肯定感とは、心理学用語で「自己価値感」のこと。自分自身を尊重する感覚を意味する。心理学百科事典によると、自己肯定感とは次のような意味である。
“自分自身の可能性を信じること、自分にはできるという自信、肯定的な自己認識”
“ありのままの自分を受け入れ、否定的な面も含めてありのままの自分でいいという感覚である”
自尊心の高い人は、自分に自信があるだけでなく、「生きていていいんだ」「自分は大切な存在なんだ」という感覚を持っている。文部科学省の調査によると、自己肯定感が高い子どもは、チャレンジ精神や達成感が強く、自分の長所をよく自覚しているという。このことからもわかるように、自己肯定感は心の根源であり、やる気、折れない心、素直さなどすべての土台となるものである。自己肯定感が育まれれば、さまざまな能力が伸びる。
一方、自己肯定感が低い人は、「自分はダメな人間だ」と自分を否定的に考えがちだ。周囲から恵まれているように見えても満足できず、自分に対して否定的な感情を持つ。
自己肯定感が低い人の特徴
・自己否定。”自分はダメな人間だ “と思っている。と考える。
・結果を出せる人だけが価値がある。自分は無価値であり、ありのままの自分では決して他者に受け入れられることはないと考えている。
・我慢さえすればすべてうまくいくと考え、自分を傷つける選択をしてしまう。
・失敗を恐れ、新しいことに挑戦しようとしない。
・他人からどう思われるかを極端に気にし、自分がどう見えるかをいつも気にしている。
・嫌われたくないがために、自分の感情や意見を表現することを恐れ、他人の言うことに従ってしまう。
・自分の感情や欲求が存在しないかのように振る舞う。
・他人に依存し、愛情の確認を繰り返す。
最も問題なのは、特に人間関係において自尊心が低いと、二次的、三次的問題のリスクが高まることである。人生の幸福度は、自尊心がどの程度心の中に定着しているかで決まると言っても過言ではない。
幼少期の自尊心と親子関係の関係
自尊心の発達には、幼少期の周囲の人、特に両親の接し方が大きく関係していると言われている。幼少期に周囲から愛され、受け入れられた経験を積み重ねた子どもは、思春期になって自分を客観視できるようになっても、欠点も含めて自分の個性や性格を冷静に受け入れ、自己肯定感を保つことができる。
ある調査によると、日本の子どもの自己肯定感は諸外国に比べて著しく低く、年齢が上がるにつれて自己肯定感は低下する。これは競争社会、完璧主義社会によるものと考えられている。
自己肯定感が低いのは、高いハードルを乗り越えられなかった人に限らない。自分の能力や結果に問題がないように見える「優等生タイプ」の多くも、自己肯定感が低い。彼らはよく良い行動や結果を褒められ、自分は褒められるに値する人間だと思い込まされている。
現代の競争社会で子どもを育てるためには、親が自己肯定感とは何か、子どもの自己肯定感を高めるにはどうすればいいかについて理解を深める必要がある。
子どもの自己肯定感を下げる5つのNG行動
子どもの自己肯定感を下げるNG行動を紹介します。子育て中の方は、自分の言動に当てはまっていないかチェックしてみてください。自分の自己肯定感の低さが気になる方は、子どもの頃を思い出して比べてみてください。
NG行動1:子どもの気持ちを受け入れない
子どもが自分の気持ちを話しているとき、「泣いたってどうにもならないよ」「そんなにはしゃぎすぎないで」などと言っていませんか? 一生懸命子育てをしている親は、子どもの気持ちが大きく揺らいでいる状況をすぐに解決しようとしがちです。まず、子どもの気持ちを受け止めることが大切です。気持ちそのものを否定せず、気持ちに共感することを心がけましょう。
NG行動2:子どもへの過度な期待
子どもに期待することは、もちろん悪いことではありませんが、期待しすぎることは子どもにとって負担になります。期待が満たされないと、子どもは次第に「親を失望させるダメな人間」である自分を肯定できなくなる。子どものありのままの姿を認め、そこに至るまでの努力を褒めることが大切です。
NG行動3:兄弟や友だちと比べる
競争心をあおるような言葉でも、兄弟や友だちと比較してしまい、劣等感や自己肯定感を下げてしまうことがあります。兄弟や友だちと比べるのではなく、本人の過去と比べて成長した子どもを褒めるようにしましょう。
NG行動4:「早くしなさい」と言い続ける
子育て中は時間に追われることが多い。遅刻をさせたくないとき、時間に間に合わせなければならないとき、つい「早くしなさい」と子どもを急かしてしまいがちです!しかし、これは子どもから考える時間を奪うだけでなく、自分のペースを否定することにもなる。「朝8時のバスに乗らないといけないから、7時半までに朝ごはんを食べないといけない」など、具体的な時間や目標を与えることで、子どもが自分で考えるように促しましょう。そうすることで、時間を意識するようにもなる。
NG行動5:子どもがミスをしたときに怒る
子どもがミスをしたとき、「そんなことしちゃダメって言ったのに」などと怒って責めていませんか?子どもに成功してほしい、うまくいってほしいという気持ちから、このような言葉が出てしまうのかもしれません。しかし、子どものミスを責め続けると、子どもの自尊心は育ちません。また頑張ればいいんだよ」「頑張れたのは立派なことだよ」と、子どもの落胆を和らげてあげると、「次も頑張ろう」という気持ちになります。
子どもの自尊心を下げる褒め方、上げる褒め方
子どもの自己肯定感を上げたいなら、ただ褒めればいい…というのは、実は大きな誤解です。ほめ方によっては、ほめているにもかかわらず、子どもの自己肯定感がどんどん下がってしまう可能性があります。
褒めてはいけないのは、子どもがやったこと、達成したことです。
例えば、「漢字テスト100点だったね。すごいね!」
「逆上がりができるようになったね。すごいね!」
「持久走でクラス1位だったね。よく頑張ったね!」
もちろん、子どもが結果を出すことは喜ばしいことだが、これらの言葉は子どもを肯定しているようで、実は子どもが達成したことを評価している。
何かをやり遂げなければ愛されないと思い込まされた子どもは、ありのままの自分にOKを出すことができず、自己肯定感が低下する。これでは、ほめることが逆効果になってしまう。
褒めるときは、子どもが達成するまでの道のりと、そこから見える資質を褒めることで、自己肯定感を育むことができる。
例えば、「漢字のテストで100点取れたのは、勉強に集中していたからだね!」
「逆上がりができたね!粘り強く練習を続ける姿に感動したよ。」
「持久走でクラス1位だったのは、毎日走っていたからだね。君の努力する力は素晴らしいよ。」
このように、子どもの長所やユニークさを強調し、褒める。「あなたの個性があったからこそ、あの結果が出せたんだよ」というメッセージは、子どもの自己肯定感を高めます。
子どもの自己肯定感を高めるポイント
自己肯定感は、子どもが生きていく上でとても大切な要素です。自己肯定感の高い子どもを育てるためには、親が受容的・共感的・積極的に子どもと接し、次の5つのポイントを意識することが大切です。
ポイント1:子どもの気持ちを受け止める。
子どもの感情が高ぶっているときは、注意や指導をする前に、子どもの気持ちを受け止める時間を与えましょう。良い子にしているときだけでなく、まずはありのままを受け入れ共感することで、子どもは「条件付け」されることなく自分の価値を肯定できるようになる。
ポイント2:子どもにとって当たり前の努力を認める。
使ったものを片付ける、宿題をきちんとする、食後の食器を片付ける…。大人にとっては当たり前の行動も、実は子どもの努力の結果かもしれません。そんな子どもの小さな努力に気づいたら、プラスの言葉をかけてあげましょう。
ポイント3:甘えられるときは思い切り甘える。
子どもは依存と自立を行ったり来たりしながら育ちます。もちろん過度な甘やかしはマイナスに働くこともありますが、子どもが小さいうちは突き放すことだけは禁物です。子どもにとって、人生の大部分を占める親から肯定され、受け入れられることは非常に難しい。子どもの気持ちを受け止め、「自分は受け入れられている」という安心感を与えることが大切です。
ポイント4:スキンシップを意識して、子どもの自己肯定感を高める。
手をつなぐ、抱きしめる、頭や頬をなでるなどのスキンシップは、愛情ホルモンであるオキシトシンを分泌させ、子ども同士の愛情を深めます。スキンシップは、ありのままの自分を大切にしていることを子どもに伝える良い方法です。
ポイント5:子どもの自己肯定感を高めるために「ありがとう」を言う。
子どもが何かを手伝ってくれたとき、弟や妹に優しくしてくれたとき、子ども自身の頑張りを見たときなどは、特に「ありがとう」の言葉を忘れないようにしましょう。頑張ったことをスルーされず、肯定的な言葉をもらうことで、子どもは自然と「自分を肯定してくれる存在」と感じるようになります。
自己肯定感の低い人が恋愛や子育てでつまずく理由
自己肯定感が低い人は、人間関係で苦労する。
自己肯定感が低く、自分をうまく受け入れられない人は、まず他人から認められようとする。しかし、人からどう見られるかは自分でコントロールできるものではない。
人に嫌われたくないから、必要以上に気を遣い、いい人を演じてしまい、ますます自分を受け入れられなくなる。人前での「いい子」と「本当の自分」のギャップが、さらに自分を受け入れられないという負のループに陥ってしまうのだ。
- 自己肯定感が低い人の恋愛失敗パターン
自己肯定感が低い人が陥りがちな負のループは、恋愛の場面で発生するとさらなる悲劇を招く。多くの人にとって、自分を受け入れてほしい相手は、身近で親密な人である。相手にとって理想的な相手を演じることを強いられると、ありのままの自分を肯定することが難しくなり、自己肯定感がさらに低下する。自分を肯定できない人にとって、ありのままの自分を受け入れてくれるパートナーは幸せである。パートナーを失うことを恐れるあまり、パートナーに束縛されてしまう人もいる。過度な束縛や期待によって、パートナーが自分を受け入れたがらなかったり、別れたがらなかったりする結果、自尊心を失ってしまうケースもある。 - 自尊心の低い人が子どもを育てる難しさ
自尊心が低い人は、自分が親になったとき、子育てに困難を感じることがある。「子どもが思い通りに育たない」「自分は子育てに向いていない」と感じる現象は、さまざまな要因や背景が複雑に絡み合っているが、自尊心の低さはその一因かもしれない。ありのままの自分を肯定できないから、「これでいいのだ」「子育てで100点満点なんて無理だ」と思うことができないのである。
大人が自己肯定感を高める6つの方法
幼い頃から自己肯定感に取り組むことは、自己肯定感を高める上で大きな役割を果たす。では、自己肯定感が低いと感じている大人は、どうすれば自己肯定感を高めることができるのだろうか。
方法1:親に愛された自分ではなく、ありのままの自分を肯定する。
親から “条件付き “の愛を受けて育ったために自己肯定感が低いと自覚している人は、親との関係にも悩んでいる。心ない言葉を返されれば、親への憎しみを思い出すのも無理はない。
自己肯定感を育むためには、親から愛されなかったありのままの自分を大切に思うことが何よりも大切だ。憎しみを持ち続けることは、あなたにとって大きなストレスです。
親との関係を自分で考え、整理するのは本当に難しい。複雑な気持ちです。それに、親を許すのはとても難しいことです。親への憎しみを手放すことができれば、それで十分です。
方法2:自分を大切にしてくれない人との交流を断る勇気を持つ。
自尊心が高い人は、自分を軽んじるような言動をする人を警戒したり、距離を置いたりするなどの対策をとることができる。これは、「自分は大切にされる価値がある」という意識が根底にあるからだ。
しかし、自尊心の低い人は、「こんな自分なら、ひどい扱いを受けて当然だ」「ダメな自分が悪いのだ」と考えて、自分を尊重してくれない人から距離を置くという選択ができない。拒絶されることを恐れるあまり、相手にとって都合のいい人間を演じてしまうのかもしれない。もちろん、これは精神衛生上よくない。
他人への敬意を示さないような振る舞いをする人とは距離を置けばいい。人間関係で大切にされないことは、誰にとっても理不尽なことです。「自分は大切にされる価値がある」という感覚を育むためには、まず、誰からも否定されない環境を作る必要がある。
方法3:自分の良いところを見つけて書き出す。
書き出しながら自分の良いところを発見できれば、無理に我慢することなく、ありのままの自分の魅力に気づくことができます。まずはありのままの自分に好印象を持ち、自己肯定感を高めていきましょう。
方法4:できないことより、できることに集中する。
同じ行動や状況でも、人によって受け止め方は異なる。「今日は本を10ページしか読めなかった」と考えるのではなく、「10ページも読んだ」と考えよう。できなかったことより、できたことに目を向けると、自分に寛容になれる。短所だと思っていた特性も、見方を変えれば長所として受け入れられるかもしれない。
方法5:小さな成果を積み重ね、自分を褒める
自分に高いハードルを課して、物事を成し遂げられない自分に苛立ち、自己嫌悪に陥るのではなく、小さな「成果」に焦点を当て、それを達成するために努力した自分を褒める。例えば、いつもより10分早く起きる、イライラせずに旅行の計画を立てるなど。小さな努力ひとつひとつにOKを出し、肯定感を高めていきましょう。
方法6:自己肯定感を高めたいと思っている今の自分を認める。
上記の方法で自己肯定感を高めることが難しくても、ありのままの自分を受け入れましょう。自分のいいところが見つからなくても、否定的な言葉をもらっても、物事を肯定的にとらえなくても、達成感を感じられなくても、すべては自分です。
自己肯定感を高めるのは簡単ではないにせよ、自己肯定感の低さに気づき、高めようと思ったのは自分自身であることは事実だ。そのことを認めて、自分をほめてあげてください。
自己肯定感についての理解は深まりましたか?一番大切なことは、子供も自分も、ありのままの自分に価値があることを認めることです。ありのままの自分にOKを出すために、ぜひこのことを心に留めておいてください。