他の子との「比較癖」が子育てを難しくする


これはほとんどすべての親が通る道である。子育てにおける隣の芝は青い現象の理由とその弊害、対策。

親の比較癖は、行き過ぎると害になる!子育てブルーグラス現象はなぜ起こるのか?
私たちの多くは、自分の子供と他の子供を比べたことがあるだろう。公園など同じ年頃の子どもがたくさんいる場所にいるときや、保育園や幼稚園で他の保護者と話しているときが多い。
他の家庭の子どもたちの「いいところ」が目に留まることが多い。
私はこれを子育ての「隣の芝は青い現象」と呼んでいる。
親は我が子の気になるところ(○○が遅い、○○ができないなど)を目で追い、その中で頑張っている子が輝いて見える。親はわが子の弱点や欠点を気にするあまり、そこに目が行きがちだが、同時にわが子の弱点や欠点とは正反対のことをやっている「いい子」にも目が行きがちだ。子育てにおいても「隣の芝生は青く見える」。
さらに、隣の芝生は青い現象は親の主観によってエスカレートすることも多い、
他の子どもは「活発でうらやましい」と思っても、自分の子どもは「落ち着きがない」と感じる。
他の子どもには「落ち着いている」と思われる行動が、自分の子どもには「怠けている」と感じられる。
他の子どもには「自分の意見を言うのが良い」と思われる行動が、自分の子どもには「協調性がない」と感じられる。
このように、同じような状況であっても、非常に倒錯した捉え方をすることがある。
この「隣の芝は青い現象」は、わが子への愛情ゆえに起こる。親は我が子に頑張ってほしい、頑張ってほしいと思うから、ついつい自分の側の状況を厳しく見てしまう。
しかし、他の子の良いところは探すのに、我が子の悪いところばかり探していると、我が子の悪いところが増え、やり過ぎると我が子に悪影響を及ぼすことになる。次のセクションでは、過度の比較癖がもたらす弊害について見ていこう。
他人と比べて育てることの弊害
お母さんたちの悩みを聞いていると、実はお母さん自身の悩みを聞くことが多く、話を掘り下げていくと、実の親との関係に行き着くことが多い。
つまり、幼少期に育った環境が日常生活に悪影響を及ぼし、問題を引き起こしているというのだ。いわゆる「毒親」だけでなく、親の比較癖の影響を受けている人も普通にいる。
それがどのような形で現れるかというと、自尊心の不安定さである。特に、勉強や運動などの能力に関して常に比較されることは、その後の人生に影響を与えることが多い。これには「Aちゃんは○○が得意だけど、あなたはダメ」といった同年代の子どもとの比較だけでなく、「お兄ちゃんは優秀だけど、あなたはダメ」といった兄弟間の比較も含まれる。
比較の中でも、大人は特に数字で測れるものに敏感な傾向がある。例えば、「Aちゃんは100点だけど、うちの子は70点」とか、「Bくんは5級に合格したけど、うちはまだ6級」とか。
しかし、このような発言は、小さな子どもにとっては「自分には能力がない、親に認められていない」と受け止められることが多く、それが強く刷り込まれると、子ども自身がそこに自分の存在価値を求めるようになる。
例えば、”パパは100点の私が好き”。”5級に合格しないとママに嫌われる。”
「実力がなければ認めてもらえない」という不安ばかりが先行して、「自分に満足できない」「自分が嫌いだ」と訴える子が多い。
さらに、自分が母親になって、また比較の中で生きていくこともよくある。ママ友との比較、子どもとの比較……。親にされたくなかったことを自分もして苦しんできた。
自分を比較する人は、人一倍努力していることが多いが、どんなに努力しても自分に自信が持てず、自分を認めることができず、ちょっとしたことで自己卑下してしまう・・・・・・。これらは、過剰な比較にさらされて育つことの弊害である。これらは、過剰な比較にさらされて育つことの弊害である。
子育てにおける比較癖を改善する5つの戦略
しかし、すべての比較が悪いわけではない。世の中に競争はつきものであり、比較することでハングリー精神が生まれることもある。要するに程度の問題であり、使い方次第なのだ。ここでは、比較を良い状態に保つための5つの対策を紹介しよう。
1.比較を切り捨てる
基本的に「比較」は、自分を追い込む目的で使うのが効果的と考えるのが正しい。例えば、子どもが自分とAちゃんを比較して「負けたくない」と思えば、これは強力なものだ。一方、親から「Aちゃんの方が上だよ」と言われて子どもがやる気になることはまずない。なぜなら、子どもは親を独り占めしたいのと同じくらい、他の子どもに邪魔されたくないからである。比較発言は、子どもを奮い立たせるつもりで言っているのだが、実際には子どもを奮い立たせる効果はほとんどない。ですから、「A子は○○ができるのに、うちの子はできない」と思っていても、それをそのまま伝えるのではなく、A子の部分だけを取り除いて、「○○ができるように一緒に頑張ろう」と、子ども自身の成長に目を向けることがポイントです。子どもの心はすねにくくなり、前に進みやすくなります。
2.「できる」「できない」を持ち込まない
前述したように、親が比較するような発言をよくすると、子どもは「できる子でないとママに嫌われる」と解釈しがちだ。ですから、子どもを受け入れる際に「できる」「できない」を持ち込まないことがとても大切です。100点でも0点でも、「ママはあなたを世界で一番愛している」という子どもの気持ちは揺らぐことはないが、そこから土俵が違うことは自覚しているはずだ。3.
3.逆・隣の芝は青い現象を生む
幼少期に親の比較にさらされた母親たちのもうひとつの不満は、「褒められた記憶がない」ということだ。いつも比較される「不利な側」に置かれたため、褒められた経験がないのだ。冒頭で述べたように、親は子どもができないことに目を向けがちだ。しかし、親の目の向ける先を意識的に変えることは可能である。視点を変えれば、子どもが頑張れる分野がたくさんあることにきっと気づくはずだ。もし、子どものできないところに目が向いていて、「隣の芝は青い」現象が起きているのなら、それに気づき、「隣の芝は青い」現象が起きないように意識することが大切である。
4.個人内の比較
最も望ましいのは、「比較することなく、ありのままの我が子を受け入れること」かもしれない。しかし現実には、いきなり「比較をしてはいけない」と言い切ることは難しいだろう。そこで、「つい比較してしまう」という方は、お子さんの中で比較することで、比較の度合いを減らしてみることをお勧めします。
例えば「3ヶ月前は5分かかったのに、今日は5分もかからない」「前回は3個しかできなかったけど、今回は5個できた。」
このように、「昨日と今日」「前回と今回」を比較することができれば、子どもの成長を見つけやすくなります。
5.3年後との比較
「あの子はもうできるのに・・・」と気にし始めると、焦りや不安から、寝ても覚めてもそのことばかり気にしてしまうかもしれません。しかし、子育ては良くも悪くも悩みは次から次へとやってくるもので、3歳の時にあれほど悩んだトイレトレーニングも、6歳になった今ではすっかり過去のものとなっている。特に子供が小さいうちは、数ヶ月の違いで真剣に悩むことが多いので、そういう場合は “3年後も同じ比較で悩むだろうか?じゃあ、5年後はどうだろう?”と。と過去に遡らせるのも有効な作戦である。
前述したように、「比較」は世代間の連鎖反応を引き起こしやすい。今比較されやすい人の中には、自分自身が若い頃に比較に苦しんでいた人もいるかもしれない。もし、自分が常に比較されて苦しんできたと感じるのであれば、自分の世代でその連鎖を止めた方がいいかもしれない。最初から比較を完全になくすことは難しいが、少しでも意識すれば、ものの見方は変えられるので、今回紹介した方法を少しずつでも取り入れてみてほしい。